名前の話

 多様な姓名を持つ日本ですが、 日本では家族や同姓の人でもいない限り「姓」を呼び合うことが普通ですし、夫婦でも第三者に対して妻が夫のことを姓で言い表すこともあります。

 日本人の感覚としては、特に男性の感覚では、家族や友人でもない人にパーソナルネームで呼ばれると、むしろ違和感を感じることが多いと思います。このあたり、結婚して姓が変わることを前提にしている女性のほうが自分のパーソナルネームに親しみを持っているような気もします。

 ロシアの姓は日本よりもはるかに数が多いのですが、パーソナルネームは伝統的な名前を踏襲しているので少なく、女性ならエレナやナタリア、タチアナなどが多いですし、男性ではアレクサンドルやウラジーミルなど良く出会う名前です。その年によって流行の名前があるようですが、奇抜な名前ではなく伝統的な名前ばかり上位にノミネートされています。

 では、日本のようにファミリーネームを呼び合うのか?と言われればそうではなく、個人名のパーソナルネームを呼び合うことが多く、”ナターシャとナターシャがナターシャとナターシャについて”噂するような、ややこしい会話が成り立ちます、話の流れの中で、どのナターシャなのかわかっているから成り立つ会話ですが、そこだけ切り取ると意味不明の会話になってしまいます。

 ロシア人は自分の名前の他に姓と父姓を持っています。格式ばった呼び方では「アンナ・イワノバ」「ミハイル・ワシリビッチ」と言ったように、個人名に父親の名前の父姓をつけて呼びます。

 面白いのはロシア系の姓の場合、男性と女性では微妙に姓が変わることで、例えば大統領のプーチンの場合、女性なら姓がプーチナになります。ゴルバチョフならゴルバチョワです。「私はかもめ」のコールサインで知られる、世界初の女性宇宙飛行士のテレシコワ。男性ならテレシコフです。テニスのシャラポワならお父さんはシャラポフです。

 「彼女のお兄さんと姓が違うのだけど、お父さんが違うのだろうか?」なんて問い合わせを受けたことがありますが、ロシア系の姓の場合、男性と女性では姓の末尾が変わるので父親や兄弟と女性の姓が変わっても不思議なことではありません。

 ポーランド系の姓も同様で。ドストエフスキーなら女性の場合ドストエフスカヤ。ところが、ウクライナ系の姓は男性も女性も同じで、リアシェンコは男性でも女性でもリアシェンコです。

 父親が違う。これは父姓でわかります。同じ兄弟でも父親が違えば父姓が違うので「〜ビッチ」」〜ブナ」の部分でそれがわかります。

 離婚、再婚が珍しくない国なので、兄弟姉妹の父姓が違うことは珍しくありませんし、特別なことでもないので誰も気にしません。「何で日本人は気にするの?」と逆に言われます。

 日本ならいじめの対象に?と考えてしまいますが、よくよく考えれば子供達が父親違いの兄弟を蔑むはずもなく、裏返せば親たちが侮辱した写し鏡に過ぎないことです。

 日露カップルの子供達。ロシア側の親のパスポートにはロシア人としての登録もできます。父親が日本人ならヒロユキブナとかトシオビッチなど、子供の名前の他に日本の父親の名前に「〜ビッチ」」〜ブナ」が付いて登録されます。

07.3/14