移民

 香港が英国から中国へ返還されて10年。香港市民は英国籍を取得することができたために、返還直前に英国籍を取得してカナダやオーストラリアなどに移民する香港市民が続出した時代がありました。あれから10年。経済的にも落ち着いた繁栄を取り戻した香港に戻ってくる元香港市民が多いようです。

 いつの時代、どこの世界でも移民が楽に生活できるほど甘くないものです。移り住んだ土地で何の努力もしなければ、光明などありません。

 80年代、ソビエトは亡命者が続出する大国で、90年代国外へ移民が続出する大国でした。特徴的なことは、ソビエト時代は政治的な理由と自由のために国を捨て、90年代ロシアでは経済混乱のためにより良い生活を求めて国外に活路を見出す人々が多かったことでしょうか?

 21世紀に入り、原油高による好景気や経済成長を迎えた今のロシア。祖国を捨てて国外に出た人たちが戻ってくる時代になりました。

 ウラジオストクなど極東ロシアでは、国外に出て同朋のUターン受け入れに積極的に向き合っているようです。政府では国外で身につけたビジネスのノウハウを吸収しようと言う目論みもあるのでしょうが、「移った国で思ったような生活ができなくて戻ってくるような人たちに期待はしていない。」と、冷ややかなのは残って守り抜いた市民達。

 「自由」を求めて国を捨てた人は簡単には戻ることはないが、「経済」的理由で国を捨てた人は景気の良いところに群がることも世の常。

 思うだけで行動に移さない、行動する術を知らない。ロシア人の悪い一面かもしれません。国の外に出るバイタリティーがあれば、一歩踏み出して行動することなど他愛の無いことだと思いますが、長年国家に飼われていた家畜生活が身についてしまったが故なのか、自発的に何かをする気概がなく「待ち」のしせい。私達にはルーズに見えることがしばしばあります。

 案外、自由がなかったソビエト生活は生活にとってはぬるま湯のようなもので、自分を抑える力さえ身につけていれば食うに困ることはなかった?今、資本主義化することでようやく共産主義のテーゼだった「働かざるもの食うべからず」が訪れている主がします。

 現代のロシアでも好景気を謳歌しているのはソビエト生活の記憶が少ない若い世代で、自分が何をすれば良いのか、何をすべきか?課題を見つけて解決していく力を持っています。異なる環境に身を置くことで、黙っていれば何かが変わるなんてことは期待していません。

 こうした現実とリスクを認識しないまま浮き草のごとく国を移ろった人々は、どこに行こうが戻ろうが食いつぶされていくものです。

 90年代には「経済結婚」などと呼ばれた、国を捨てる理由としての「国際結婚」が成り立っていましたが、今はそんな時代ではありませんし、本来の「人格」と「人格」のぶつかり合いがもとめられます。

 「君のことが好きだからロシアに移住しても言い。」くらいの気概がないと結婚も難しいでしょうし、このように切り出して越が引けるような相手なら先行き難しいかもしれませんよ。

06.7/2