カフカス

 最近、カナダ人の友人と「多民族国家」について話題にしていたら、「コケージアン」と言う言葉が出てきました。白人を意味する”Caucasian”のことです。私が「コーカシアン」と認識していたものですから、「コケージアン」と発音されてアジア人を意味する「エイジアン」に聞こえてしまいました。確かに後ろ半分は「asian」です。

 その前後の話題のやり取りから”Caucasian”を「コケージアン」と発音するのか、勉強になったワイ。と思いました。

 肌の色で人種を区別すると「差別」になりかねないので、日本でも黒人を「ニグロイド」。黄色人種を「モンゴロイド」、白人を「コーカソイド」と呼ぶことも少なくありません。肌の色というよりも骨格の違いでの区別と言ったほうが良いかもしれません。

 ところで、コーカソイドの語源のコーカサス。ロシアではカフカスと呼びますが、どの辺にあるかご存知でしょうか?

 ロシアの南、イランやトルコの北、黒海とカスピ海の間。グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなど旧ソビエトから独立した国もあれば、チェチェンのようにロシアからの開放を求めて紛争中の民族もいます。

 昔から民族の十字路として混沌としていた地域で、「戦争と平和」の作者のレフ・トルストイも軍人としてコーカサスに赴任にしていましたし、詩人作家として有名なレールモントフもコーカサスに兵役に行き「コーカサスの虜」と言う小説を書いています。

 この地域から西や北に広まったのがコーカソイドと呼ばれています。トルコとアルメニアの国境近くには、旧約聖書に出てくる大洪水でノアの家族が流れ着いたとされるアララト山があります。この地域の発祥と言われると、自分たちはノアの子孫と語っているように思えてしまいます。

 多様な民族が行きかった地域なので、現在も政情不安や軋轢の耐えない地域で、ソビエトの押さえ付けから解き放たれた後にそれぞれの国内での問題が噴出しています。端的に言ってしまえば、旧ソビエトの国々がいかにロシアから脱却しようとしているのかがポイントかもしれません。

 グルジアでは大統領の乗った自動車が爆破された事件ああったり、アルメニアでも内戦がありましたし、アゼルバイジャンも石油問題でロシアとの軋轢があります。

 帝政ロシア時代に手を焼いたチェチェン人など、第二次大戦中にスターリンがドイツに協力する勢力として、民族ぐるみで中央アジアなどに移民させてしまったが故に、今になってロシア各地でゲリラ活動を行う手がつけられない状態になっています。

 2004年9月1日に勃発したベスラン学校占拠事件の北オセチアはカフカス山脈の北側。大相撲の露鵬と白露山が北オセチア出身です。

 ロシア人にとって「カフカス」は必ずしも快く受け入れられる土地ではないようで、それもそのはずで男性などは兵役で連れて行かれる可能性もあるのですから、紛争地帯などありがたくもありません。

 それこそ、旧ソ連各地から人を寄せ集めたウラジオストクでは、アルメニア系やグルジア系などコーカサス地方から来た人々も少なくありません。政争の元のモスクワから遠いこともあり、テロ・ゲリラ事件のような事件は起きていませんし、市民感情もモスクワとは異なりますが、政府は一応警戒しています。とばっちりを食らうようなことがあれば不憫なのはこちらにルーツを持つ市民ですが、モスクワのように「危険」とは程遠くのんびり生活しています。

07.1/11