ラーフラ

 晩婚化や少子化対策に腰を持ち上げた日本政府ですが、これは!という解決策は見出せないでいます。価値観が結婚とは対極に重きが置かれるようになってしまったのですから、今の価値観を変えない限り納得行く回答など 出ないでしょうが、配偶者控除くらい残しておくべきだと思います。

 少子化については何の対策もないけれど、政府的には大臣の椅子が一つ増えています。男女が働きながら子供も育てる不可思議な平等意識から脱却しないとこの問題は解決しないと思いますが、これはタブーのようになっています。 大義名分と現実の板ばさみですね。

 さて、ロシアは日本よりも少子化が進み、既に人口減少が始まっています。ロシア人イコール早婚と言うのは過去の話になってしまいました。 現在、20代ロシア女性の結婚に対する意識や願望は急激に低くなる傾向にあるそうです。”傾向がある”はそれが全てではないので早とちりなさらないように。

 元々早婚の土壌があったのか、なんでも計画社会だったソビエト時代には20代前半で結婚、出産。20代半ばで離婚と言うのがロシアに多いパターンでしたがそれも変化して 過去の話になりつつあります。

 ある意味、ソビエトは男女がともに働き、等しく家事をこなし、子供も育てた国でしたが、その結果、男性は家庭に対しての責任が軽減され、家計の負担も少なくなり、小遣いが増えれば飲む打つ買うに走るので、家庭崩壊という例が少なくはありません。

 専業主婦を希望する女性会員に”なぜ?”と聞いたら、夫が働き妻が仮定を守る(もしくはその逆)の家庭のほうが離婚率も少なく家庭も安定しているそうです。しかし、ロシアで専業主婦ができる経済安定性を備えた男性は多くはないとか。

 最近はロシアでも晩婚化が進み、20代女性は結婚に対して冷ややかになってきています。一つには経済が好調になってきて、稼ぎ頭が20代の女性という社会状況もあるようです。

 かつてのロシアなら仕事を持ち、家事もこなし子供も育て、亭主はぐうたらというのがロシアの妻像でしたが、余分なものは排除されます。余分なものとは、夫ですね。

 社会屋勤務先にぶら下がっていれば何とか食べていけたソビエト時代と違い、今は能力があるものが生き残れる厳しい生存競争があります。逆に見れば自分の力量を評価してもらえる面白い時代。

 古い時代の勧化方に影響されていない若い世代ほど新しい社会制度に適応しやすいので、企業にとって需要が高いのは20代のそれも女性。

 30代になるとさらに若い世代がしたから台頭してくるので、そこでスキルアップして独立開業できるかどうかが人生の分かれ道。結婚なんてしている間もありません。

 40代日本男性のかつての姿のようにも思えます。社会的な成功、うがった言い方をすれば、世俗的栄達が絵に描いた餅ではなくなった今のロシアでは、女性にとって結婚よりももっと面白いものがたくさん見えてくるようになりました。

 ウラジオストク事務所の社長は今年30歳になります。有能な若い世代が迫ってくると常に危機感を持っています。ウラジオストクと言うローカルだから活躍できるが、モスクワやサンクトペテルブルグに行ったら自分の能力は既に通用しないと厳しく自己判断しています。

 カピラバストゥーのシャカ族の王子、ゴーダマ・シッタールタ(ブッダ)は妻ヤショーダラとの間に男の子が1人いました。その名はラーフラ。”災いをなすもの”とか”足かせ”と言う意味です。
 それから2500年、結婚が”ラーフラ”になってしまったのでしょうか?

 角度を変えれば人間は仕事と家庭の二つの異なる社会を持つようになったのでしょうが、私たち日本男性が”良かれ”と思って信じてきた”仕事のための家庭の犠牲”を目の前に突きつけられると、”これでよかったのだろうか?と考えてしまいます。

 冷ややかに考えれば、数字合わせでこうした親から子供をひねり出したところで、育てることは難しいでしょうから、仕事に専念してもらうのも良いのかもしれません。愛されることは望んでも愛することができない人が作り出すのは”不幸”です。

 昔の日本なら家庭と仕事を両立できないのは男性にとって裁量を問われる恥ずかしいことでしたが、今は”平等”と”セクハラ”のおかげで言い訳はいくらでもあります。うがった見方をすれば無責任でいられます。

 21世紀はいろいろなことがスペシャリストかする時代だそうですが、仕事に全てを注ぎ込む人と、家庭を中心にすえる人と二分化されてしまうのだろうか?むしろ外で稼いでくる夫と家で家庭を守る妻の封建的な構図のほうがスペシャリスト化していたと思います。

 ある意味、妻の内助の功があって夫の職場での栄達が”当然”であった常識が、ロシアに限らず現在の日本でも崩れてきています。時折、自分達の”嫌な”部分をロシアに見るときがあります。

 仕事帰りに居酒屋で”おふくろの味”を食べ、家でホームドラマを見て、チャットで見たこともない相手と愚痴を言い合って、家庭に浸った気分になって翌朝仕事に赴きまた同じ道のりを繰り返す。バーチャルな家庭に生きていたほうが余計な人間関係に振り回されることもなくて楽かもしれませんね。現実の家庭は家族の人間関係も労力を要するものですし、束縛されるものです。夫婦に限らず親子や兄弟でもお互い異なる思考や意見を持っているのですから。

 少子高齢化先進国のロシアでは高齢化についての原因について平均寿命の短さを上げています。短命で早く亡くなる人が多いので子供が生まれても間に合わないので少子化になる。

 もう一つ、ロシアでは実に的を得た原因を「西側の悪癖の流入」と称しています。西側からもたらされた有害な習慣とは「晩婚・同棲・中絶」などだそうです。

 全部が全部同じ方向に行くことは危険ですが、そうならないのも人間の英知です。良い家庭を作っておけばやがて日が当たることでしょう。

 仏陀にラーフラと名づけられた息子は、やがて十大弟子の1人となり仏陀の教えを世に広めています。ラーフラは漢字の当て字で羅睺羅(ラゴラ)。それにあやかって日本では寺院の子弟を羅子(らご)と言います。

06.1/25