パーティー

 四つ身に組んで相撲をとっているわけではありません。

 創立30周年の同窓会で久し振りに会った同窓生の抱擁だそうです。

 30年前と言えばブレジネフ政権真っ只中。スターリンほど恐怖政治を行ったわけではありませんが、”自由”とは対極の管理、干渉、監視の中で人々は生活していました。

 ソビエトは経済破綻だけで崩壊したわけではなく、人々が”自由”を欲したから消えたのだと彼らは言います。

 何十年もの時を経て、社会制度も価値観も変わり、こういう席で再会する気持ちは複雑だと思いますが、時間のカタルシスは大きな力を持っています。一つの困難な時代をすごした共感のほうが大きいでしょう。

 パーティー会場のオードブル。

 乾き物を簡単に並べたように見えますが、実はなかなか手の込んだ代物が多いものです。

 こうしたパーティーに限らず、大方のパーティーと名がつくところでは主役は女性。よく食べ、よく飲み、よく唄い、よく踊る。

 宴の後で男たちがものも言わず黙々と後片付けをしていて、”なんだ着ていたのか?”と気がつくことも珍しくありません。

 どのくらいの年齢から?と眺めてみると、子供の頃からで、パーティーで男の子が騒いでいるとママに叱られていますが、女の子は歌ったり踊ったり積極的で、それを親が喜んでいるような光景を目にします。

♪Альбатросы-матросы♪ ”アホウドリの船員”

 ステージは人の背丈ほどもある高いお立ち台になっています。日本ならこんなに高いステージにすると「落ちたらどうする?」と懸念してしまいますが、演劇や音楽など”見せる”ためにはこのくらいの高さも必要です。

 観客が上から見る会場での演出と、下から見上げる会場の演出は違うそうで、舞台芸術はロシアのお家芸です。

 ウラジオストクの革命戦士広場に設置された野外ステージなど、人の背丈よりも高いステージですが、小学生の舞踏グループがハチャトゥリアンの”剣の舞”など、ほとんど空中に飛び上がっているほうが多いような激しい踊りを披露しています。

 それにしても、この2−3年でロシアにもジーンズが普及しました。

 この世代ですとジーンズには抵抗があるようです。

 成長過程の娘達が乗っただけであれだけたわむ上の写真のテーブルですから、大きく育った先輩方が乗ったら?

 日本では異なる世代が一堂に会して祝う機会は少ないように感じますが、時代や異なる流行に対して排他的だからでしょうか?粗悪なトレンドはすぐに忘れ去られ、時を経て残るものは悪くないものだけです。

 最近、三味線や尺八など日本的なものが見直されてきているので、今の若い世代はすいぶん捕らえ方が異なってきていると思います。

 ロシアはトラディショナルな部分がしっかりしていますから、それを軸に世代を超えて共に楽しむことができますし、その時代のトレンドはトレンドで同じ世代の共感があるものです。

 若い頃は束縛されて自由がなく、社会の中心になった頃にはソビエトがなくなって自由と共に困難な生活に翻弄され、ようやく自分達の人生を生きられるようになったと思ったらこの年齢になっていたという世代。

 乱世を生き残ったたくましさと言うのか、艱難辛苦が脂肪になって育まれた肝っ玉母さんの世代で、何でもその巨体で受け止めてしまうような陽気でおおらかなおばさんたちが多い世代です。

 今のロシアの精神的な部分を支えているのはこの年代のおばさんたちではなかろうか?と思います。こんな母親が出てきたら娘の将来の姿を想像してしまいますが、”心”のこもったそ立ち方をしていると思います。

 切ないけれど、こんなおばさんになることが女性の幸せの行き着く場所の一つだと思います。

 30代ですね。

 ベリーダンスには ♪Arabian Waltz♪

 ウラジオストクでもこのところベリーダンス教室が盛況だそうで、体をくねらせ腰を振る悩殺的な激しい踊りがおなかの脂肪をそぎ落としてくれるそうです。

 腰やおなかや足の付け根ばかりに目が行ってしまうベリーダンスですが、複雑なステップを持つ踊りです。さすがにハイヒールではなくバレエシューズをはいていますね。

 ロシア人は指先が長いのでフラメンコやベリーダンスでの指の表情のつけ方が実に美しいのですが、日舞を躍らせると独特な”しなり”が出せません。案外、日本人のほうが細かなニュアンス表現が上手なので、ベリーダンスを躍らせればうまいかもしれませんが、なぜか日本人が踊ると”卑猥”っぽくなってしまいます。

 20代になるとUSA文化に抵抗が少なくなるので、最近はジャズに興味を持つ女性が多くなったと感じます。

 大方のロシア人は日ごろ歌を歌わないので音痴が多いのですが、音楽を学ぶ人は徹底して学ぶので、不協和音が持ち味の複雑なジャズコーラスもたやすくこなしてしまいます。

 ロシア正教の聖歌はアカペラでユニゾンで男性が唄うもので、コーラスはソビエト時代に広まりました。

 ナロード(ロシア民謡)と歌曲のベルカント唱法は発声が対極で、石造りのホールで歌う腹式呼吸のベルカント唱法とちがい、屋外の宴や畑仕事で唄うナロードの発声は胸やノドの奥や頭蓋骨など自分の体で共鳴させるので、日本の小唄などの発声に近いものがあります。

 次世代はラップが出てくるんじゃないかと笑っていられないのも、最近、若者の間ではロシア語のラップミュージックが流行っています。

06.4/23