名前の流行

 日本のファミリーネーム(姓)は漢字の違いや読み方の違いを含めて27万種あるといわれています。読み方で統一してローマ字にしてしまえばその4〜5万ではなかろうかとも言われています。

 13億の人口を抱えながら、中国の姓はわずか4100種、韓国などもっと少なく270種といわれているので日本には多様な姓が存在しています。日本は他のアジアと「姓」の由来が違うこともあって、アジアの中では「姓」の数が多い国といわれています。世界各国からの人種の坩堝USAは当然その数は世界一で、150万種の姓があるといわれています。

 「氏」としての伝統的な「姓」を持つ日本や中韓と異なり、父親の名前から姓が発した例が多く新しい「姓」が比較的簡単に作れるヨーロッパは数が多いことも背景が違いますが、多民族国家のロシアでも100万近い姓があるだろうといわれています。

 姓も多様なら個人の名前も多様な日本、昨年生まれた子供に多かった名前は男の子なら颯太(そうた)、大翔(ひろと)、翔太(しょうた)、翔(しょう)で、「翔」や「太」や「斗」を使った名前が多く、女の子は陽菜(ひな)、美咲(みさき)、彩香(あやか)、さくらなど、女の子の名前につき物だった「子」や「江」の文字はベスト50にはありません。

 「翔」など日大相撲部出身力士の象徴のような文字ですが、おじさん世代にはあまり見かけない名前です。「颯」などおじさん世代の人名漢字にあったのだろうか?音にすれば三つの音の名前が多くなったよ感じます。女の子の名前も柔らかい響きの名前が最近は多くなっています。先に響きあり、語呂の良い漢字を当てるので文字と読み方が複雑になってきました。

 名前の流行は今に始まったことではありませんし、昭和の「昭」など大正時代までほとんど知られていない文字だったらしく、名前に「昭」がつくのは昭和生まれからだそうです。女の子に多かった「子」も皇室や貴族の女性につく文字でしたが、大正あたりから一般にも広まってきます。

 個人的な話ですが、中学の同級生に”伊予”ちゃんというのがいまして、父親が冬の出稼ぎで愛媛に行き温暖な気候だったことから温かい娘になるよう”伊予”でお姉さんも”愛媛”でした。珍しい名前はそれが弄ばれるもので、名前ゆえにからかわれました。ところが、後に歌手の松本伊代が出てきました。その頃、彼女は既に結婚していましたが、センスが良い名前だと評価が変わっています。

 多様な「姓」に対して、個人の名前は伝統的な名前を踏襲する例が多いロシアでは、同じ名前の人がたくさんいます。女性の名前ならエレナ、ナタリア、タチアナが目立ち、人ごみの中でこの名前を叫べば必ず振り返る人がいると言われています。

 個人名の少ないロシアでも名前の流行はあります。昨年のモスクワの統計では女性の名前のベストファイブが

 1)アナスターシア、 2)マリヤ、 3)ダリア 4)アンナ 5)ヴィクトリア だそうです。圧倒的の多いとされていたエレナもナタリアもベストファイブに入っていません。

 男の子の名前のベストファイブは 1)アレクサンドル、2)ウラジーミル、 3)ニキータ、 4)イヴァン、 5)ドミトリー。 アレクサンドルは昔から男の子に多い名前でアレキサンダー大王由来の名前です。女の子ならアレクサンドラで、男女とも呼び名はサーシャです。

 男の子の名前ではもっと多いと思ったアレクセイやセルゲイが外れてニキータとドミトリーが入っているのは意外でした。

 日露カップルの場合、子供にロシア風の名前をつける家庭も少なくありません。マリヤ、アンナ、ユリアなど漢字にすることも難しくないでしょうし、男の子ならユーリくらいしか思いつきません。

 イヴァン=言わん=不言。ウラジーミル=世界制服。アレクサンドル=大王など思いつきますが、こんな名前をつけると騒動になりかねません。

 国際カップルの子供はハーフではなくダブルですから、双方の文化を取り入れるのも新しい創出。知恵を意味するソフィアを用いて”ソフィア智子”と娘に命名したカップルもいます。とんでもなく長い名前にしたカップルもいますが、幼稚園の備品に名前書くときどうするのだろう?

 名前が多様化したことで、昔のように名前でいじめられるようなことも少ないと期待しています。誰がどう見ても日本人の子供に洋風の名前をつけるよりも、見た目がバタ臭いダブルの子供が洋風の名前でも自然ですし、和風の名前なら”粋”です。むしろ選択範囲は広いかもしれませんね。

06.5/28