皇居界隈

 ウラジオストクに限らず、私達日本人が外国に出て目に付く光景と、そこに住む人たちが外国人に対して見せたい光景は異なるものです。

 自分の生活環境の中での日常に目を向けることは、あらためて考えるとなかなか難しいことですが、こうした機会に気をつけてみると面白い発見があるかもしれません。

 ロシア人の目から見た東京の光景は、案外、私達地方在住者がおのぼりさんになって出かけて行って目に付く景色に近い気がしますが、見栄や照れがあってカメラを向けられない景色をものともしないのが素敵です。

 皇居の近くを何回も通っていましたが、自意識過剰な性格なので他人様の目が気になってまじまじと眺めたことなどありませんでした。

 東京見物に連れて行ったときに初めて皇居を眺める機会に恵まれましたが、大都会のど真ん中にこんな空間があることが不思議に思えました。

 入館料払えば皇居の中に入れると思っているのが外国人のたくましさで、エルミタージュ美術館や北京の故宮と同じ感覚で捕らえているところなど冷や汗が出ます。

 「こんなに素晴らしい公園をなんで市民に開放しない?市民は怒らないのか?」と真に的を得た意見を賜りますが、日本国民の口からは言い出せない言葉です。

 テンノウは東京に住んでいて、ミカドは京都に住んでいると思い込んでいる人なので、「京都のミカドは住まい(京都御所)を市民に見せているではないか?」

 「入館料を取ればテンノウの暮らしも豊かになるではないか!」と、子作りにしか期待していない日本国民よりも温情にあふれています。

 昔、農協の共済加入者の旅行で、同じアングルで記念写真を撮ったことがありました。全国各地から農協御用達のバスが来ていました。

 戦争を経験した人たちにとって皇居は悲喜こもごも複雑な思いがする場所なんでしょうが、柏手打って宮城崇拝する年配者もいれば、「こんなところに来たくなかった」とバスから降りない年配者もいたものです。

 こうしたしがらみなどまったく関係なくロシアの旅行団は記念撮影。東京観光で日本のツァーリ(皇帝)の家を見てきたです。

 まあ、私達もロシア人の心情など関係なく「レーニンの銅像がある」「スターリンの肖像画は見かけないな」とやっているのですから、似たり寄ったりですね。

 無機的なコンクリートの建物が林立する東京の都心ですが、森が各地に点在しています。都心に寺社や大規模な市民の墓地が多数点在していることなど、私達にすれば当たり前のことなのでしょうが、世界的に見れば稀有な都市です。

 都市部は生産のためにあり、生物としての人間本来の場は郊外にあると考える人々にとって、平日を過ごす市街地と、余暇を過ごす郊外が区別されていますが、日本はこうしたものが日常の中に織り交ざっています。

 外敵から守るために都市と都市が離れて、その間に森や不毛地帯などを持つ都市構造と異なり、日本の場合は都市と都市が連立して連なっていて、行政区分上の分類でしかありません。神奈川、埼玉、千葉まで含めて東京と捕らえ、その大きさに驚くようです。

 私達が思うほど高層ビル群など評価の対象になっていません。

 最近、森の中に住む住人が増えてきました。震災などが起きたときの避難場所でもある森が、既に先住民であふれています。

 ホームレスがいることに驚きはしませんが、ホームレスが家を建てて住んでいることや、自転車やリヤカーなど動産を所有していること、市民に危害を与えないこと、本や新聞を読み文化的な生活をしていること「どういう人々なんだ?」と不思議に思えるようです。

 格差社会が最近の論議の的になっていますが、すし詰めの列車に乗って時間に追われながら落ち着くまもなく働く人々と、そうしたものを拒否して社会から飛び出て生きている人の格差が少ないのもいかがなものだろうか?

 不思議な国日本の一面かもしれません。

 ロシアのホームレス。およそ文化的な生活とは対極に生きていることが一目でわかります。

 どうやって冬を越すのか?春になればいなくなっていて新しいホームレスが誕生するのか?

 最近は国営企業や役所が次々なくなっているので、公務員の成れの果てなどという人もいるようですが、日本同様、かつて意外な地位にあった人がホームレスを営んでいるのもロシアの特徴かもしれません。

 渋谷のジベタリアンやダラシナ系が云々言われますが、本場の迫力はぜんぜん違います。悔しかったらここまでやってみろ!と若者に説教したくもなりますが、写真は匂いが伝わってこないから幸いです。

 東京タワー333m。現在では決して高い塔ではありませんが、下から上に伸びるラインが美しい建造物だそうです。

 都市計画で色使いが決められていたり、どんよりとした色使いが多いヨーロッパに街並みと比べて、色彩豊富な街に見える日本の街並みですが、この赤い塔が一番目立つそうです。

 思えばこの塔を中心に近代東京が築かれてきたようにも思えます。

 この高い鉄塔の下に徳川の菩提寺の増上寺があり、古い物も新しい物も違和感なく混在しているのが日本の面白さかもしれません。

 テレビも近い将来に地上並デジタルに切り替わるようですが、東京タワーも都内に林立した超高層ビルの影響で、電波塔としての限界が来ているようです。上野にもっと高い新しい電波塔を建設する動きもあるようです。

 東京タワーに上るのは小学校の修学旅行以来でしたが、「こんなもん珍しくもなんともないじゃないか」といいながらコイン望遠鏡で都内を眺めてしまいました。

 昔はここから見える超高層ビルは霞が関ビルしかなかったような記憶がありますが、その霞ヶ関ビルがどこにあるのかもわからなくなりました。

 もう老朽化で解体されたのかな?ゴジラに破壊されたこともあったな。と、売店のお姉さんにどこにあるのか聞いたら、意表をつかれた質問だったらしく「霞ヶ関ビル?え?そういうのありましたねぇ・・・・・・高いビルでしたら、新宿方面をごらんになればたくさんありますから・・・」はぐらかされた。

 私の村に来て○○の大木はどこにあるんでしょうか?と聞かれるようなものですから答えられないでしょうが、案外地方から来た人のほうがどこにどのビルがあり、どの方面がどの街など詳しいかもしれません。灯台下暗し。

 (後日談・会員さんからの報告では、霞ヶ関ビルは目立たなくなったもののまだ存在しているようです)

06.5/4