履物

 日本とロシアの生活習慣の違いはたくさんあります。履物も靴の文化とワラジの文化で異なりますが、ヨーロッパや中国が家の中でも靴を履いたままなのに対して、ロシアでは屋内では靴を脱いで屋内用のスリッパなどに履き替える習慣があります。

 日本では玄関に上がり框があって、屋内が一段高くなっているので、そこで靴の脱ぎは気をすることがわかりますが、ロシアの住宅は玄関から家の中までフラットのままで、どこで靴を履き替えるのか感覚がつかめませんが、大体入口のドアから入ってすぐ靴を履き替える場所になっています。

 靴が並んでいるのでわかりますが、家の中では外履きの靴を脱ぐ習慣を知らなければ、そのまま外靴のまま上がりこんでしまいがちです。

 大方の家庭の玄関入口はごちゃごちゃしているものです。足元には外履きのブーツと家の中で履くスリッパが置かれ、壁には外出の時にきるコートがかかっています。

 屋内に入ったらまず靴を脱ぐと意識していれば大丈夫でしょう。

 日本同様靴の脱ぎ履きの習慣を持つロシアですが、似ているtことと同じことは別物ですから、異なる部分もあります。ロシアでも屋内ではスリッパなどを履いていますが、コタツも座敷もないので、風呂やベットにもぐる時以外はスリッパを履いたままです。

 そのため彼女らが日本に来てやらかすことは、スリッパのまま畳の部屋に上がってしまったり、スリッパ履いたままコタツにあたったり。

 生活習慣の違いから些細なマナー違反はお互い様です。だんだんに学んでいけなよいことですし、私達も向こうで気がつかないうちに同じような無礼をしているので、気がついたら直していけばよいことです。

 靴の脱ぎ履きがあるのに、「靴を履く」ことに違いがあるなと感じるのは、ブーツや編み上げの靴です。靴の脱ぎ履きの多い日本ではブーツやくるぶしまで覆うハーフブーツタイプの履物は敬遠されがちですし、編み上げの紐にしても脱ぎ履きしやすいようにゆるめに縛っておく人が多いと思います。短靴タイプでは紐の代わりにマジックテープで止めるものも普及しています。

 出かけるときや帰ってくると、いちいち靴の紐を縛ったり解いたり、ご丁寧に時間をかけて靴の脱ぎ履きをするので、急いでいる時には「何のんびりしてるの?」といらいらする時もあります。逆に向こうから見ると緩々の靴紐のまま外に出るなんてだらしないと見られがちです。

 「靴紐をしっかりと縛って、靴がぴったりと締まっていないと歩きにくい」いつでも脱げるように紐をゆるめに縛っておく日本式の靴の履き方では、靴の中で足が遊んでしまい歩きにくいそうです。

 確かに急な坂道が多く、路面の状態も良くないウラジオストクでは靴がぴったりフィットしていないと靴ずれを起こしやすいでしょうし、何よりとっさの時に危険です。女性の場合はブーツにもハイヒールがあるので、足首からスネで靴を固定していないとつま先に負担がかかって外反母趾になるかもしれません。

 下駄やワラジを履いて生きてきた日本人はベタ足で歩く人が多いので靴が多少ゆるめでも苦にならないのでしょうが、ロシア人に下駄を履かせてみると足の指の間が痛いというのは別問題にして、まずまともに歩けません。歩くときに足の裏にかかる体重移動が大きいからでしょう。

 こうした違いも実際に体験してみないとなかなか実感がわかないものですが、一度体験すればお互い気を使うようになってくるものです。異なることも面白いものです。

 履物で苦労することと言えば、足の形状です。日本人は横に広く甲の低い足をしていますが、ロシア人は幅が狭く甲高の足が多いので、日本の規格の靴が足にあわない人が多く靴のサイズも当てになりません。靴一足買うにもいろいろ試し履きして、さらにややこしいのは色柄デザインに翻弄され手間隙かけて買うことになります。

06.4/17