ロシアンフラメンコ

BGMは6分近い演奏なのでまず先にどうぞ。

♪ここをクリック♪

 ロマ(ジプシー)系ギタリスト、アンドレイ・コルリョフ・ゲンのフラメンコスタイルのギター演奏でアルメリアという曲です。アルメリアは南スペインアンダルシア地方の町の名前です。

 ロシア音楽には放浪の民ロマの旋律の影響が大きく取り入れられています。

 西ヨーロッパの人々は彼らがエジプトから来たと思っていたのでジプシーと呼んでいますが、この放浪の民は元々はインド北部の人々だったようで、その哀愁を帯びた旋律や妖しいリズムなどは、東ヨーロッパやエジプト、スペインやポルトガルを席巻し南アメリカのサンバやタンゴなどにも根付いています。

 ロシアのロマの音楽やダンスは妖艶で情熱的ですが、実際に見ると思ったほど体を動かさない踊りです。ただ、視線や指の動きでとてつもなく激しい動きに見えてしまいます。日本の歌舞伎も指先の表現など細かな動きで観客の魂を引き寄せてしまいますが、ロマの踊りを見てから”歌舞伎もすごいんだ”とわかるようになりました。

 放浪者の音楽は中東では妖艶な旋律とリズムを根付かせ、ハンガリーではチャルダッシュを生み出し、スペインではフラメンコになりました。

 民族の十字路の中央・東ヨーロッパでは譜面で読むと頭が痛くなるような8分の7拍子などの難解なリズムを生み出していますが、日本の津軽三味線の古い曲には似通ったリズムがあります。口頭伝承だからこそ残ったんでしょうね。

 フラメンコもコンパスと呼ばれるリズムや形式を行動伝承で伝えて来た音楽です。

 ロシアの人々もフラメンコは大好きです。華麗なバイレ(踊り)やカンテ(歌)が彼らの内に眠る熱い部分を引き出すようです。が、ロシアのフラメンコも日本同様咀嚼されてメロディーラインも聴きやすくなったものが多いです。

 アンダルシアの元祖フラメンコでは少々濃すぎるようです。

 日本では熟年生徒が多いフラメンコスクールですが、ウラジオストクでは比較的若い世代が多いようです。

 元々彼女らの感性に会う音楽だと思うのですが、ダンス教室などに通うのは経済的に余力のある若い世代で、年金生活者には足が遠くなるようです。

 スポーツ教室に近いニュアンスを持つ舞踏系、何のためではなく、自分の楽しみのためであり、体を動かすことによって健康をるため。人生を楽しむ。

 ソビエト時代からスペインへはロシアの民族舞踏団やバレエ団が頻繁に公演に行っていたそうです。

 最近はもっと過激に妖艶なアラビアンダンスも人気があるそうです。

 発表の場で表現することも大切なことなので、日本のスクール同様発表の場を作ることも大切です。幸い大なり小なり劇場がたくさんある国です。

 手足の長さが違うことは何かにつけ感じますが、こうした動きの中では特に強く感じます。

 ロシア人はヨーロッパの中では決して大柄な部類ではありませんが、しなやかな動きができるのでそう見えるのかもしれません。

 しなやかさに関しては日本人のほうがはるかに優れていますが、日本の伝統的な舞踏は外に広がるような表現が少ないので、表現形式の違いでしょう。

 ハチャトゥリアンの”剣の舞”など空中に浮いている時間のほうが長いような激しい舞ですし、コサックダンスも終始飛び上がっているような踊りです。

 ロシアのポップスにもフラメンコの旋律やリズムを織り込んだ曲が多いのはその多くがダンスミュージック(ディスコなど)で使われるからでしょう。

 男性にとってフラメンコはこうした体育会系の舞踏ほど激しくありませんが、靴底でリズムを取るタップはあまりなじみがないようです。

 最近のロシアではバレエの人気が下がってきて、フラメンコなどの民族舞踏や現代舞踏の人気が高くなっているそうです。バレエの衰退はフィギュアスケートや体操、新体操、シンクロナイズドスイミングなどにも影響するそうなので、ぜひ皆さん日本のためにもフラメンコを楽しんでいただきたいです。

 幻想的な演出をするのはロシアのお家芸です。

 見せるということがとても優れているので、フラメンコに限らずどんなステージでも納得できるものをぶつけてきます。

 こういうことには真剣勝負する人たちですから、悪びれたり道化が場をしらけさせることをよく理解しています。

 年々楽しみも多様化して来たのも、一頃の経済混乱から抜け出した証でしょう。

 人生を楽しむために没頭できるものを持つことは心のゆとりに関わります。「趣味は?」と尋ねる裏にはそんな意味合いが含まれています。

 好きなんだけど、離れてるのさぁ。なんて歌がありましたね。遠距離恋愛?

06.2/26