時計
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40年も遡れば、日本の家庭にあった時計など居間の台所の柱時計一つくらいのものでした。現在ではありとあらゆるところにおまけのように時計が付随しています。 パソコンやビデオや携帯電話はもとより、白物家電と呼ばれる電子レンジや冷蔵庫まで時計が組み込まれています。デジカメなど当たり前、石油ストーブを買って真っ先にやらなければならないのが時計の時刻あわせ。 自動車のパネルにも時計は必ずついていますし、カーナビやカーステレオにも時計がついていて、それぞれ微妙に時間が異なっているからどれが正確なのかわからないで腕時計を見る。 なんとまあ、たくさんの時計に囲まれて生活していること。 幸いだなと感じているのは日本にはサマータイム制度がないことで、年に2回も時計の針を1時間進めたり遅らせてたりすることのわずらわしさを思い浮かべるだけでうんざりしてしまいます。 東西に長いロシアは国内だけでも9つの時間帯があります。日本と同じ時間帯に属するのが、夏ならシベリアのど真ん中のイルクーツク、冬ならそれより少し東のヤクーツクやチタです。ウラジオストクやハバロフスクは夏は2時間、冬は1時間日本より時計が進んでいます。カムチャッカ半島など日本のほぼ真北にあるのに夏は4時間、冬は3時間時計の針が進んでいます。 なんとまあ、たくさんの時間に囲まれて生活しているのがロシア人です。 最近はウラジオストクの生活も日本同様生活用品に時計が増えていますが、いちいち全部時刻合わせなどしているのも面倒なのでそれぞれ違う時間を示しているものです。 友人いわく、「これはモスクワ時間、こっちはサハリンの時間、こちらはノボシビリスクの時間と思えば気になりません。」そんな大げさな時間どころか10〜20分狂っているだけなのですが、肝心のウラジオストク時間が観念から抜けているから何をするにも遅刻です。1時間2時間のずれどころか、1日2日感覚がずれているので困ったもんです。 第二次大戦終了後も満州で略奪虐殺を繰り返したソ連兵が、日本人の腕時計を略奪し、腕にたくさん腕時計をはめて喜んでいたが、誰一人時計の読み方を知らなかった。なんて逸話がありますが、時計を読めなかったロシア人が夏冬合わせて18物時間帯の中で生活しています。時計なんか読めないほうが暮らしやすいかもしれません。 確かに彼らの生活を見ていると、時計を見て時間を逆算してなどと細かなことを考えて行動しているようではなく、”このくらい”から”だいたいこのくらい”と感覚なのか体で時間を感じて動いているように思えます。終業時間だけは正確ですが。 国際線の飛行機は世界各国の時差に惑わされないように、ロンドンのグリニッジ天文台の時間を機軸に動いているそうですが、ロシアのシベリア鉄道もモスクワ時間を機軸に運行しています。 9000kmもあり、一週間にも及ぶ行程で遅れたり早かったり、どうやって運行時間のずれを調整しているのかといえば、管区ごとに電気の電圧や交流直流の違いから動力車を乗せ変えなければならないので、そのときに長時間停車時間を設けて時間を調整します。 列車の運転士は運行の機軸になるモスクワ時間と、生活の機軸になる自分の町の時間と、行った先の時間の3つの時間のなかで生活しています。 特別難しいことでもありません。国際カップルなど常に相手の母国との時差を認識するようになりますので、相手の町の時間が今何時かなどすぐに思い浮かぶものです。 面白いのは同じロシア人でも西のモスクワやサンクトペテルブルグと東のウラジオストクの時差で、冬時間なら日本よりも1時間進んでいると時計が志向しているウラジオストクに対して、モスクワやサンクトペテルブルグは6時間時計が遅れています。 電話をする時など、ほぼ日本とリアルタイムでやり取りできるウラジオストクに対して、モスクワなど西はこちらが就寝時間になる頃に”そろそろ仕事から帰ってきたころかしら”です。そういった意味ではウラジオストクは日本人にとって時差を感じさせない土地だといえます。 05.11/24 |