食文化
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日本国内のロシア料理店にロシア人を連れて行ってよい評判を聞いたことはあまりありません。だったら行かなければいいのですが、それでも恋しくなるのがふるさとの風味でしょう。 日本食流行のロシアなので、ウラジオストクにも日本食レストランが増えていますが、行ったところで「高い」「まずい」の不満ばかりが残るようで、通訳・ガイドの友人も「できれば連れて行きたくない」と嘆いています。 日本人の味覚にあうように味付けされたロシア料理、ロシア風に味付けされた日本食。なにより、外国で食材をそろえるだけでも大変なことで、母国と同様の食事を求めること自体難しいことです。 高い費用支払っておいしくもない祖国の料理もどきを食べること自体愚かしいことですが、食文化の違いは微細なストレスを積み重ねてしまうもので、妙に自分の国の料理が恋しくなることがあります。 ホテルにお湯ならあるのでカップヌードルの一つ二つ持っていけばすむことです。おそらく日本ではこんなことしないでしょうが、カップにのり茶漬けを入れてしょっぱいスープにして飲むだけでもずいぶん安らぐものです。 自分で調理がままならない旅行者と違って、生活者は材料さえ手に入れば自分の好みに合うように調理することができるので救いがあります。 国際カップルの場合、毎日ではないにしても夫婦がそれぞれ別に食事を作って食べている家庭は珍しくないようです。若い頃ならこってりした料理にも耐えられますが、歳をとると共にあっさりした料理のほうに味覚が変化するようで、毎度毎度相手の国の料理につき合わされていると体が持たなくなります。 最近テレビの健康番組などでよく見かける「ドロドロ血」や「コレステロール」「高血圧」などを「こりゃまずいわ!生活改善せにゃ!」と真剣に見入ってしまいます。 「健康のためには日本食を!」と正義の御旗を掲げたところで、これが毎日では相手が耐えられずそのうち怒り出します。ボーダーラインが難しいところです。 仕事に出た時の昼食など外食をすることも多いので、この機に乗じて日本食を食べて体調を整える人や、用はないけど実家に立ち寄って味噌汁とお新香だけのご飯をかきこんでくるなどの対策をしている日本人も多いようです。 向こう側だって同様に我慢しているのでしょうから、里帰りして実家の食事を食べてほっと一息すると同時に、今度は相手への不平不満が次々と爆発して腹が立ってくる。国際カップルに限らず「里帰り=相手の悪口」はつき物で、これがのろけに終わっているうちは良いのですが、親兄弟が便乗してくると家庭争議になりかねないので気をつけたいです。 日常生活など粗末なものを食べているからこそ飽きもせず健康にも害がなく持ちこたえているわけで、日本時から見たロシア人の日常の食生活など粗末なものですし、同様にロシア人から見た日本の日常の食生活だって粗末なものです。こうした本来の食生活が異文化遭遇で狂ってしまうことも良くあることです。 同じ日本人同士の結婚生活だって、味噌汁や漬物の微妙な味付けの違いから骨肉のご両家対抗ののしり合戦に進展することも珍しくありません。贅沢な確執だともっと大きなカルチャーギャップでゆれる国際カップルには見えてしまいますが、「異なる」ことを受け入れることはなかなか難しいものです。 05.7/17 |