Пока!
| ロシア語で”さようなら”に当たる言葉は”До свидания(ダ スビダーニャ)”ですが、親しい間柄や友達同士では”じゃあまたね!”や”またそのうち”といった意味で”Пока!(パカー)”が使われます。 ところが、この”パカー”が日本人には”バカ”に聞こえます。別れ際に相手に向かって”バカ”と呼びかける姿がなんとも面白おかしく感じてしまいます。”イワンの馬鹿”の国だからなぁと面白おかしく見ていますが、意外なことにロシア人は晩年のレフ・トルストイが”イワンの馬鹿”を書いたことを知りません。 ”イワンの馬鹿”を知らないロシア人が意外にも多いばかりか、知っていてもレフ・トルストイがこういった小説を書いたことが信じられないようです。 私など関東に住んでいると”バカ”よりも”アホ”のほうが侮辱されたように感じてしまいますが、関西の人たちには逆のようです。群馬県など口が悪いので”バカ””バカヤロー”など日常の会話に頻繁に出てくるので鈍化していますが、関西の人にはロシア人の”じゃあまたね”の”パカー”がきつく聞こえるのだろうか? 子供の頃には”バカ”なんて言葉を使おうものなら親や先生にひっぱたかれたものですが、赤塚不二夫の「天才バカボン」が世に広まったあたりからこの言葉のニュアンスもずいぶん変わったように思えます。 ”アホ”という言葉も関東ではあまり耳にしない言葉でしたが、漫才ブームや関西のお笑いが浸透することによってずいぶんニュアンスが変わってきたように感じます。 アホという言葉は由緒ある言葉なのだそうで、漢字で書くと”阿呆”になります。この”阿呆”は何を指し示すのかといえば秦の始皇帝が建設した馬鹿でかい宮殿の”阿房宮”のことです。”阿房”が”阿呆”になったのだそうです。 阿房宮は項羽が焼き討ちし、阿呆宮の中に囲われていた虞美人を連れ出した物語の舞台ですが、秦は万里の長城や阿房宮建設に莫大な財政を費やしたために滅んでしまいます 。愚かな事をする人のことを”阿呆”と呼ぶようになったのだそうです。 宇宙飛行士が「宇宙から地球を見ると国境なんて見えない」と言い、国境などにとらわれることの愚かしさを説きますが、宇宙から唯一肉眼で見える人工建設物の万里の長城は”国境”として建設されたものです。 ”バカ”の語源は”物事に疎いこと”や”口”を意味する”莫訶”という仏教用語から来ている言葉だそうで、それが”莫迦”になり”馬鹿”の当て字がされたようです。 ”馬鹿”の”鹿”を”カ”と読むのは訓読みで、すなわち日本古来からの言葉です。音読みなら”鹿”は”ロク”なので、”バロク”と読むのが正解です。”馬鹿(バカ)”は音読みと訓読みが混ざった重箱読みで、これもまた正しい漢字の読み方から外れた読み方でした。 室町時代の書物には”バカ”の当て字として”母娘”や”馬娘”と書いて”バカ”と読ませていたこともあります。今なら問題になりそうな表記です。 秦の末期、始皇帝の息子の胡亥はできの悪い男だったので、宦官の趙高という男が力を振りまきだします。官僚が権勢を振るうようになると王朝が崩壊するのは歴史のお決まり。趙高は鹿の肉を「これは馬肉でございます」と二世皇帝胡亥に献上しますが、胡亥は鹿の肉と馬の肉の違いを見抜き、「丞相は間違えたな。鹿のことを馬といいおったわ!」と笑って済ませました。 この場にいた臣下達は素直に「皇帝の言うとおり鹿でございます」という臣下と、趙高におもねって「馬でございます」という臣下の二つに分かれました。後に「鹿」と言った臣下は趙高によって暗殺されたという話があります。 中国には馬鹿(マールー)という動物が実際にいます。日本ではアカシカと呼ばれる巨大な鹿です。漢字で”馬鹿”と書いても日本的な意味合いは通じません。言葉としては”馬虎(マーフー)”が”そそっかしい””迂闊”という意味合いに用いられるようです。 毎度ばかばかしいコラムでした。 じゃあまたね!パカー! 05.11/11 |