愛妻号

 イタリアのフィアットの技術で作られたソビエト時代の大衆車ラーダ。

 ロシア語でラーダは”喜び”や”光栄”と言った意味を持ちます。会話の中での「ラーダ」と言う表現は女性が使う表現で、日本で言うなら「光栄ですわ」と言ったところでしょうか。男性なら「ラート」です。

 政治的にラーダと言えば1917年、今のウクライナのハリコフ終結した革命派の一派が首都キエフに乗り込み中央ラーダ政府を樹立します。このラーダは”評議会”に当たる言葉で、ロシア語で言うとソビエトです。

 ラーダには愛妻と言う隠れた意味もあるそうで、愛妻を「光栄」と同じ言葉で評するのも面白いです。まあ、女性が一生懸命働いて家庭を支えている国ですから。日本なら愛妻号はナショナルの洗濯機です。

 ロシアの友人いわく「インドの神話にもラーダという名の神が出てきて、とてもいい言葉だと思います。」

 インド神話のラーダはクリシュナの愛人で本妻ではありません。ラーダは牛飼いアヤナゴーシャの妻なんですが。浮気容認ってこと?

 ラーダを製造しているVAZ車はアメリカのGMと提携していると聞いていますが、韓国の技術で作られているそうで、あまり評判が良くありません。

 ”ロシアの自動車はすぐ壊れるけど簡単に直る”ロシア女性のご機嫌のようなものですが、”韓国の技術が入ったラーダはすぐ壊れてもなかなか直らない”とか。

 愛妻号ですから美しくドレスアップさせなければなりません。ロシアの自動車に乗るのは愛国心あふれる年配の人ばかりではありません。

 空気抵抗を考慮してフロントにはチンスポイラーをつけています。決して除雪のための廃土板ではありません。FR車ですから高速走行時に後輪に荷重がかかるようにパンタグラフ式のリアスポイラーも着いています。サイドミラーも空気抵抗を考えて丸いデザインのものに変えられています。100kmそこそこのスピードしか出ないのにエアロパ−ツが必要か?吹雪の時に空力が威力を発揮するんでしょう。

 社内が見えないように窓にはミラータイプのフィルムを張り、タイヤだってアルミホイールにグッドイヤーのスタッドレスタイヤ。三十数年前ならバリバリのラリーカー仕様で、手間隙かけています。これもまた楽しいことだと思います。

 元がイタリアのデザインですから、しっかり磨いてやればヨーロッパの町並みに映えるのは当然ですが、機能重視ばかりが自動車ではありません。このクルマに乗るのは恐いけど。

05.12/3