つるふさ

 ロシアにおける「つるふさの法則」といえば歴代の指導者の髪の毛のこと。帝政ロシア最後の皇帝ニコライ二世(ふさふさ)、レーニン(つるつる)、スターリン(ふさふさ)、フルシチョフ(ツルツル)、ブレジネフ(ふさふさ)、アンドロポフ(つるつる)、チェルネンコ(ふさふさ)、ゴルバチョフ(ツルツル)、エリツィン(ふさふさ)。

 エリツィン大統領の任期が残り一年を切った1999年の4月にウラジオストクに行ったときに、友人のロシア人と次期大統領の話になりました。まだ、プーチンの名前は上がっていませんでしたが、つるつる・ふさふさの法則はロシア人もわかっていて、次は髪の毛の薄い自分つが大統領になるだろうと言う話になりました。

 この当時ゴルバチョフがロシア大統領に出馬すると言う話は日本でも噂されていたので、ゴルバチョフになるのではないかと尋ねると、西側ではどうか知らないがロシアではまったく人気がないと言っていました。実際出馬したゴルバチョフは泡沫候補並みの得票で落選しました。

 ゴルバチョフが人気を落としたのは「節酒法」と言われていますが、実際のところ、バルト三国が独立を主張したときに、自らで向いて一定隠し、軍を導入したことが市民の印象を悪くしたようです。

 旧ソ連の書記長夫人といえばアンコ型でアナグマのような顔をしたバーブシカばかりでしたが、ゴルバチョフの故ライサ夫人は美人でしたし、社交的マナーも心得ていたレディーでしたので、外遊のときは夫人同伴で行くことがほとんどでした。これがまた市民には快く思われない行為だったそうです。

 ロシア女性には歓迎され、男性には最悪の法律だった「節酒法」にしても、ライサ夫人の弟がアル中で死んだから作られた法律だったと影では言われていました。

 エリツィンの指名を受けてプーチンが名乗りを上げてきたときにはロシア人でさえどんな人物かは知らなかったそうです。当時のロシアは今以上に権力者の腐敗がひどく、KGB出身のプーチンの腐敗取締りにかける期待は大きかったようです。

 実際、プーチンは大統領就任早々にマフィアや政治家の取締りを厳しくしましたが、政治腐敗の大本のエリツィン一族に関しては手をつけていません。これにはエリツィンがプーチンを後継者に指名するときに免責に関する密約があったといわれています。

 大統領候補にプーチンの名が挙がったときに、どんな人物かとロシアに住む友人にメールで問い合わせたのですが、良くわからないと言う答えばかり返ってきました。

 ロシアでは大統領選から市長選の果てまでテレビでの宣伝が大きく流れます。大方のテレビ局は権力者が所有しているようなもので、公共放送とは言いがたいのも現実です)無名のプーチンは自ら操縦桿を握ってチェチェンを空爆するパフォーマンス(実際に当人自ら空爆したらしい)で大衆の心をつかんだと言われています。

 ウラジオストクではそんな気配もありませんが、モスクワ方面ではチェチェン問題が深刻なので、チェチェンを攻撃するプーチン候補が「強い男」と指示されました。今も昔もロシアの人々は「強い男」が大好きです。強くなければ男ではないとまで言われています。

 ロシアでは大統領は2期努めると引退しなければなりません。再選されたプーチンの任期は4年残っていますが、身の回りの閣僚をKGB関係者で埋め尽くしたり、進まないマフィア取締りなど、ボチボチ足元から崩れるようなボロが出始めています。

 次は法則どおりに髪の毛がふさふさした人になることを期待しています。

04.9/24