ウォッカ

 ロシアを語るときにウォッカの話はつき物ですが、実際に行ってみると酔っ払って歩いている人など1人もいません。むしろ日本の繁華街のほうがよほど醜悪です。

 ソビエト末期のゴルバチョフ大統領はロシアでは意外なほどに人気がありませんが、飲酒に対して厳しい規制を設けたことは女性たちに評価されています。しかしながらゴルバチョフのあと人々の支持を集めたのは飲んだくれのエリツィンでした。

 この4月にエリツィンは日本の鹿児島に療養に来ていますが、薩摩焼酎があるから鹿児島に来ているのだろうとウラジオストクの友人は申しております。

 ロシアではアルコールを飲むということはウォッカやウイスキーなどの蒸留酒を飲むことを言っていて、ビールやワインなどはアルコールとみなされていない感覚があります。

 デートに行ったレストランで「私はアルコールは飲みませんからワインをいただきますわ」とエレガントにボトル一本あける女性は珍しくありません。こういうのを日本では大酒のみというのですが、彼女らにすればアルコールを飲んでいる意識はありません。

 たとえ、「私酔っていませんわ」とでかいケツでテーブルなぎ倒そうとも、アルコールを飲んでいないのですから酔っていないのでしょう。そういうことにしておきましょう、お互いのために。

 家の中でお茶代わりにワインのボトル一本あけて、窓を開けて調子はずれの「カチューシャ」を唄っていても、こういうこともあらぁな。と、新聞でも読みましょう。

 ワインは夏暖かいグルジアワインが多く、赤の甘口が主流です。ソムリエ気取って知ったかぶったワイン知識を披露しても何のことかわからないでしょう。楽しく飲んで楽しく喋って楽しく食べるが基本です。

 ウォッカの飲み方は豪快です。杯を一回り大きくしたグラスに注いだウォッカを一気にのどの奥に押し込むと、水を飲んでのどやけを冷やします。むくつけき男たちが集まった宴でもない限りこうした飲み方はしません。

 アルコールに弱い方は前もって飲めないことを言っておきましょう。多少自身がある方は「少しだけなら飲めます」でちょうど良いでしょう。酒飲みよりも、飲んだあとの酔い方が重要で、酔って人に絡むようなことをすれば人格を疑われます。

 若いうちはウォッカで肝臓を痛めつけ、年老いてからは肝臓に痛めつけられるという小話があるロシアですが、民間療法などにもウォッカは欠かせないものです。

 風邪のときウォッカを足にすりこんでいるので、何を迷信みたいなことをやっているのだ?とあきれていましたが、翌日元気になっていたので、すごい種族と一緒になれたんだなと感動したことがあります。